
幻聴や妄想を治してくれたのがリスパダールという薬でした。
太ったり引きこもりがちになるという欠点はあったものの、平穏な日常が戻ってきました。
私はリハビリもかねてお世話になった大学病院の図書館でパートの仕事をするようになりました。

統合失調症から回復し、社会復帰への第一歩
こんにちは。統合失調症発症歴30年で障害年金で暮らしているemimamaです。
パート仲間の方々は私より年上が多かったですが、優しくて穏やかな人が多くとても癒されました。
何のストレスもない地味な作業の仕事で、リハビリには持って来いでした。
そんなふうに日常が過ごせるようになると薬の副作用が気になり始めました。
太ることと便秘、それに手の震えです。
顔つきも病人らしい生気のないものになり、鏡を見るのが苦痛でした。

服薬しているリスパダールと統合失調症について
リスパダールは脳内物質のドーパミンを遮断する薬で主に統合失調症に使われています。
ドーパミンとは快楽物質の一つで、やる気や達成感を感じるときに分泌されます。
しかし、過剰に分泌されると幻聴や妄想が起こったり全能感(自分が神になったように感じること)を感じたりするのです。
病気の再発に注意しながらも、私は次第に薬を減らしていき、ついには飲まなくなりました。
すると、やる気が出てくるようになりました。
お医者さんは「まだ薬を止めるのは早い」と言いましたが、このままニートになって引きこもるのは嫌だったので無理を言って治療を止めてしまいました。
後にこれで、1年半の通院という実績がなくなり、障害年金を5年遡ってもらう権利を失うことになるのですが、当時はとにかく「病人」から「普通の人」に戻ることを重視していました。

通院を止めてリハビリ生活そして社会復帰へ
通院を止めることで傷病手当も出なくなり、私はハローワークへ行きました。
ここでも失業手当受給の期限延長は傷病手当より先にやる必要があったため、失業保険を受け取る権利がなくなってしまいました。
パートの仕事は半年ほどで終了となり、私は社会復帰するため保険の営業の仕事に就くことになりました。
その勤務地はかつて勤めていた会社の隣のビルでした。
私は好きでこの仕事を選んだわけではありませんでした。
病気で仕事を辞めたので、この仕事にしか受からなかったからです。
飛び込み営業は楽な仕事ではありません。
それでも、幸運も味方して営業成績は良い方でした。
そんな私のことをある日、元同僚の男性が見かけてしまいました。
最初に私を脅してきた人です。
その人との関りで解離性障害を発症したのですが、その後は普通に飲み会に誘われれば出席したり、仕事を手伝ってあげたりして仲直りしていました。

彼と解離性障害について
私のことを気にかけていたらしく、後をつけてきて私に気づかれないようにして私の営業先にも姿を現すようになりました。
当時の私は過去のことを一切忘れて暮らすことに決めていたので、元の職場の人との関りを絶っていました。
しかし、彼は私の今の様子が気になるらしく、かつて相談相手だった元同期の人に電話をかけるように働きかけました。
その電話はスピーカーフォンにされていて、私との会話を複数人で聞いていたようです。
その会話の中で肉体関係があったことをしゃべっていた時、怒って彼がその電話に割り込んできました。
私はなぜ、電話にその元同僚が出てくるのかわからず、怒って切ってしまいました。
すると、電話で会話したことを忘れてしまうのでした。
母が一階から私の部屋へきて、「何を電話でけんかしているの?」と聞きました。
私は「電話なんてしていない。」と言いました。
しかし、その手には受話器があります。
母に受話器を返した後、再び電話がありましたが、「もうかけてこないでください。」と言って断っているのが聞こえてきました。
母はまた病気がぶり返すのを恐れて、元の勤務先の人たちからの電話を一切、取り次がなくなりました。
このことも当時は覚えていなかったのですが、後からフラッシュバックで思い出しました。
フラッシュバックはある日突然、その場面が繰り返し頭の中に浮かんでくるものです。
自分を守るために封印した過去の記憶が、何かをきっかけにブーメランのように戻ってきます。
仕事をしているときは何の問題もないのですが、解離性障害は治っていませんでした。

次回予告について
さて、次回は主人との出会いについてお届けします。
私自身は当時、もう病気は完全に治ったものだと思っていましたが、実は鳴りを潜めていただけでした。
結婚してから専業主婦になり、一人で家にいるうちに再発をしたのです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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